5分とイスに座っていることができず、課題にちっとも興味を示さず、課題を手にしても長続きせず、本来のやり方で取り組めず、こんな状態の子供を学習指導していくのはほんとに大変でした。 |
小学校に入学した当時は“1時間教室にいて、一人で課題に取り組める”なんてことは夢のような話でした。 補助の先生が追い掛け回って、手取り足取りで、かろうじてやらせていたって感じです。 |
補助の先生とマンツーマン状態でなら、教室で課題に取り組めるようになりました。でもいつかは、補助の先生なしで一人でできるようになったらいいなあと思っていました。 |
教室にいられるようになって、課題に一人で取り組めるようになっても、声の大きさが調節できない、「わかりません」が言えない、グズグズして時間がきてしまう、繰り返しができないなど、問題はいろいろです。 |
ご褒美を使う |
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歌を歌う イスに座らせておこうと思っても、課題になんかちっとも見向きもしてくれません。「一つ課題に取り組めたら、ご褒美をあげる」という行動療法的なアプローチで始めてみました。 ご褒美には、“お菓子”を使うことも多いようですが、昴は、お菓子にはつられませんでした。 課題がひとつ終わると、「親に絵本の中の歌を、一曲歌ってもらうこと」が何より嬉しく、ご褒美となりました。 ご褒美の効き目はあって、歌って欲しいがために、課題に取り組むようになりました。しかし、歌って欲しいがために、チャチャッと課題を片付け次から次へと歌を要求し、気が付けば、昴が課題をやっている時間より、親が歌を歌っている時間の方が長いという問題が生じてきたのです。
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指のサイン ウサギとキツネ ご褒美は、より、簡単な日常的なものに変えていくことが望ましいのです。 指の形を作って見せて「うさぎ」や「こぎつね」の歌っているうちに、歌なしで、この指サインだけで、昴は嬉しくなり、この指サインを 歌に代えて ご褒美とすることができました。 昴に このサインは、学習場面だけでなく、日常どこでも効果あります。 |
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正解BOX 昴が大好きなスーパーマリオのキャラクターをご褒美に使ってみました。ティッシュペーパーの箱と割り箸を使って ゴム仕掛けで大好きなキャラクターの絵がピョンと上に上がるしかけです。 正解では真ん中のマリオ、不正解では左右のワリオやドンキーの悪役キャラを上げてやると、もう昴は嬉しくて、嬉しくて、はまっていました。 写真の下のものは、ボトルのキャップで作った、課題クリア(スター獲得)ボードです。課題が一つ終わると、スター一個ゲットです。 |
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ゲームができるトークン表 一つ課題が終わるごとに示していたご褒美を、全部が終わったらもらえるものにしていきたいと考え、「課題が全部終わったら、好きなTVゲームができる」をご褒美にしました。 課題途中で、ご褒美に近づいていることが視覚的にわかることで安心できると思い“、課題が一つ終わると、トークンを一つ貼って、「ゲームの国」へ近づいていく”という、トークン表を試しました。 昴は、一個一個トークンを貼っていくことに興味はもちませんでしたが、「課題が全て終わればゲームができる」ということは、すっかり定着し、自分から課題に取り組むようになりました。 |
課題のメニュー表 |
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課題のメニュー表 小1 家で使っていた課題のメニューです。 こういう書かれたものがあると、「次は何をやり、どこまでやれば終わりになるのか」がわかって、安心して落ち着いて学習に取り組めるようです。 課題から課題への切り替えがスムーズになりました。 やらせる方もこのようにメニューが書いてあると、自分がやりやすいですし、「この課題には 今日はちょっと食い付きが悪いな」 と言う時に、切り上げて次へ進めたりすることもできました。 |
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学校の授業でのメニュー表 学校では、スケジュール表を使うことで、授業や、休み時間の切り替えがスムーズになり、チャイムで自分から教室に移動して授業に参加できるようになってきました。
授業の中では、 ・ 毎回の授業の内容をサーキットメニューのようにして、同じjパターンで行う ・ その日の授業の流れを黒板に書く → それが、写真のメニュー表へと発展しました。 ・ 課題は、 パッと見て簡単、出来ると思えるもの 80%の易しい内容に20%のちょっと難しい をまぜる マッチングを使う わからないところは、答えを教えてしまう メニュー表を使って、課題の工夫をするようになってから、補助の先生のお世話にならなくても、課題を勧めていくことができるようになってきました。 |
課題提示の工夫・学習環境 |
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課題の提示の仕方 自閉症のお子さんによっては、課題が重なって置かれていると、どのくらいやると終わりになるのかわからなくて不安になる人もあると聞きました。 それまで、家では重ねて置いていたのですが、全部のプリントが見えるようにズラッと並べ、一枚一枚に番号カードをクリップでつけ、“そのプリントに進んだら、付いている番号カードとクリップを箱の入れて始める”ようにしてみました。 この提示の仕方は、課題のスケジュール表を使うよりも 大変わかりやすかったようです。 この課題提示をしたことで、“自習ができる”という目標へ大きく近づいたように思います。 一度これで、様子がわかって自信がつけば、こういった提示でなく、重なっていても平気になります。 今は綴じてあっても、自習で取り組めます。『問題が難しすぎなければ』 |
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教室の学習コーナー 写真は、グァテマラ日本人学校の教室での、個人学習コーナーです。 クラス全体課題の時は、友達の隣の席に据わりますが、個人の課題の解きはこのコーナーへ行って、自分の課題に取り組みます。 座って、左の机に、授業開始時にはその時間の課題を並べ、課題をやりおえたら、右側の机の終了BOXに入れていくようにしています。 机の前には、その時間の授業メニュー、声の大きさスイッチ、コミュニケーション支援カードなど、授業の中で必要なものだけを 貼ってあります。 学校が変わっても、こういう感じの学習コーナーは、引き続き 用意していただけています。 |
問題対応グッズ |
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声の大きさスイッチ 音読をする時、声が小さすぎたり、大きすぎたり。どの程度の大きさで読むのがいいのかわからない様子でした。 「自分の声の音量をどの位にすればいいのか 視覚的にわかるためには?」を考えて作ってみました。行事や集会でも使いました。 |
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ドラえもんタイマー グズグズ課題がはかどらない時や、「○○分でやろう」という時間制限の課題の時、キッチンタイマーを使ってみました。 しかし、タイマーにせかされるのが嫌なのか、「ヨーイ、スタートは終わりです」(タイマーは使わないでという意味)と、怒ってタイマーを投げて壊してしまうこともありました。 そんな話が出たら、お友達のお母さんが「昴君はドラえもんが好きだから、これなら使えるかも」とこのタイマーをくださいました。 このタイマーは、ジリジリ、リリリリというアラーム音でなく、「はーい、時間です」「ヤッター!新記録」などのドラえもんの声が聞こえます。大ヒット。これならタイマー大嫌いの昴も積極的に使えました。 タイマーで時間にさかされるのがキライなのではなく、音が怖かったんですね。 |
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回数表 音楽の曲の繰り返し練習や、体育の練習の繰り返しなど、同じことを何回も繰り返すことが苦手です。 「間違えることがキライ」 → 「またやらされるということは、間違えたということか」と思うのか、“いつ終わりになるのか不安になる”のか、2〜3回繰り返しをさせると必ず大きな癇癪をおこします。 この回数表は、あらかじめ、左の枠に「何回やる」という数字を提示し、一回終わると右の枠の数字を変えていくという使い方をします。 原案は親が出し、学校で先生が作成してくださいました。大ヒットグッズです。 |
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